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いなかの猫の天邪鬼部屋

第10話

OnAir~シーズン3・第10話~

#セアのアパート

(開かれた窓。窓辺の机に座ったセア、窓の外を見てノートPCをつける。しばらくためらい、文字のキーを叩く。考える。苦笑...)


#(インターカット) 二日前、ドラマ局局長室

(カン局長、セアにコーヒーを差し出しながら座る。)

カン局長 : 次の作品の構想はしているのか?

セア : え?いいえ..まだ。

カン局長 : 随時考えておけ。いつ機会が来るか分からないから。...作家の大部分は女だから、いつ何が起こるか分からない。未熟でも、そこを上手く捕まえられたら機会になるから。

セア : (笑う) はい...

カン局長 : トレンディーを一つやってみないか?

セア : トレンディ-ですか?私、そういうものは苦手なんですが...

カン局長 : いや、必ずしもトレンデ-ィでなくても、少し明るい話を書いてみるとか。(見る).... 明るいものを書けば、自分自身も明るくなるぞ。

セア : (苦笑) 私..暗いですか?

カン局長 : (見る) いや、それは...

セア : (やや苦い)....


#再びセアのアパート

(窓の外を眺め、やや苦い顔つきをするセア。立ち上がる...)


#サンウ事務室

(サンウ、机に座ってモデルのプロフィール写真を見る。携帯電話に資料を保存する。首を上げて体をほぐし、ため息をつく....)


#ヨンウンの仕事部屋

(ヨンウン、ギョンミンの原稿を見てノートPCをつける。考える。文字のキーを叩いて消す。顎を片手で支えて窓の外を眺める...)


#大学路

(木の下のベンチに座って人々を眺めるセア。絵を描く人、通りで公演する人、仲良さそうに歩いて行く恋人たち、向かい側のベンチに座った恋人たちの愛情行為をじっと見る。)

(隣のベンチに人気を感じ、振り返る。)

ヨンウン : (微笑みながら見る)...こんな所で会うなんて。

セア : (驚く)......(微笑む) 一人で出て来たのですか?

ヨンウン : (向かい側を見る) ええ。天気が良かったので...

セア : そうですね...いい天気ですよね...

ヨンウン : ...(息を吸い込んで) 今は学校祭の期間じゃない?この空気を受けたら、学校祭を思い出したわ...

セア : そうですね...(見る) 大変でなければ一緒に行ってみますか?

ヨンウン : (笑う) 大変じゃないように見える?....でも.. 行ってみたいわ..

セア : (鼻をゆがめる) 無理でしょう?

ヨンウン : .........(遥かな目)


#新村、ある学校

(単科建物の間の小さな森。ベンチに座ったヨンウンとセア。)

ヨンウン : (息を吐き出す) せっかくここまで来たけどもうダメだわ。..(セアを見る) ごめんなさい。私のせいで...

セア : いいえ。(笑う) 私も若くないです歩くより座る方がいいです。

ヨンウン : (笑う)....ここはいいわ。 若い頃は、どうしてこういう場所に目もくれずに暗いカフェーを探し回ったのかしら?

セア : ここに通われていたのですか?

ヨンウン : いいえ...前夫が、です。...それで、よく来ていたんです...

セア : 結婚を早くされたのですよね?

ヨンウン : .... はい..

セア : ..羨ましいです...

ヨンウン : (見る).....

セア : 愛するという事...私は ..上手く行かないんです...(苦笑) 疑心が多くて...

ヨンウン : .......

セア : (見る。やや苦い微笑み) 私がイ監督を好きになったのも ...もしかすると ...疑う必要がない人だからかもしれません。私を一度も注視しない人...そしてどんな底意も疑う必要がない人...

ヨンウン : ......

セア : 初めて男性に心が行きました。...ダメだと思いながら ..それでもっと ...深くなったのかもしれません。...(息を吐き出して)三十を超えて.. 愛という感情が何なのか分かるようになりました...

ヨンウン : ......

セア : ありがたいと思います。...辛くても.. 大変でも.. 愛という感情は神様がくださった一番美しい贈り物です...

ヨンウン : (見る。じいんと熱くなる) .... 今でも彼が好きですか?

セア : (気まずそうな笑い) 初恋なのに、簡単に忘れられますか?...(息を吸い込んで) でもこれからは...耐えられます...

ヨンウン : (すまない笑い) ごめんなさい...

セア : (苦笑) でも...感情にもドアがあると思うんです..

ヨンウン : (見る).....え?

セア : 一度開かれれば .....あれこれ全て、あっちこっち覗きますよね...(口元に微笑み) くすぐられるような感じ...?

ヨンウン : (首を傾げる).....

セア : 私の感情が手当たり次第にくすぐられているみたいです。....誰かが触れたらすぐに笑いが吹き出るような....(顔に微笑み滲む)

ヨンウン : (セアの表情を見て、考える)......(微笑む)....


#学校外駐車場

ヨンウン : (笑って) 今日は楽しかったです。またお会い出来れば嬉しいです。

セア : (笑う) 私もです。.....そのうち一度お伺いします。申し上げたい事もあるし...

ヨンウン : え?

セア : ....(苦笑) 今はダメです。...もうちょっと考えてみてから......(もじもじする)

ヨンウン : 何だって言うの?気になるわ....

セア : (少し間をおいて).... チン・サンウ代表はどんな人なんですか?

ヨンウン : (意外そうに) チン代表...? どんな....?(見て) ...どういう意味ですか?

セア : (苦笑) 次の作品のモデルにどうかと...考え中なんです。面白いキャラクターだと思って..

ヨンウン : (慇懃な微笑滲む) ...そう?話を作るのにはとても良いキャラクターですよ。よく見ていますね。

セア : そのうち私からお伺いしてお聞きします。今日はとても無理されたようですし...

ヨンウン : ホントに。私、今ちょっと大変だから、私の仕事部屋にいらっしゃればいいんです。

セア : そうですね。(淡々とした微笑み) 今日は本当に楽しかったです.... 感謝します..

ヨンウン : いいえ、私の方こそ。良い友達に会った感じだわ...

(二人、楽な表情で顔を見合わせる...)


#放送局前庭

(ベンチに座っているサンウとギョンミン...)

サンウ : 確かに老けたようですね.... (頭を反らして) とても疲れるている...

ギョンミン : (苦笑) チン代表を見ると、何だか四十という年齢が恐ろしくなります。...俺もその年になればそうなるのか...

サンウ : それは...イ監督はそうじゃないとは言えないでしょう?年齢には勝てません。

ギョンミン : それでも俺は...一人ではないでしょう?...(見て) もっと年をとる前に結婚するのはどうです?

サンウ : (見て) 御存知ですか?俺のの同期たちのほとんどが、夜明けに覚めると言うんです。皆一家庭の家長なのに、四十になりながら寝る事が逃げだそうです。家族に対する責任感と歳月に対する恐ろしさが眠りまで奪い取るんです。それでも俺は一人だから責任は大きくない。今更結婚するのは...脱出口と言うより無謀な行動です...

ギョンミン : (笑う) 結婚は全ての幸せを保障しないけど...俺はそれでも一人より二人がいいと思います。そうでなかったら、どうして神様が人間を男と女に作りましたか?

サンウ : それは繁殖に関する問題でしょう。種族保存...

ギョンミン : だからですよ...どうして単性生殖でなく両性生殖の原理を適用したのだろうか...という事ですよ。...生物学的理由の中に、もう一つの性の原理が暗示されているんじゃなかと...そういう...

サンウ : まったく...考える事も多くて、複雑に生きていらっしゃるんですね。

ギョンミン : 俺がこんな事を考えるのは..多分複雑な事を単純に考えたいからだと思います。曖昧なままにしておく事ほど息苦しくて複雑な事はないんですよ..(笑う)

(サンウ、目を瞬かせてて苦笑する...)


#ギョンミンとヨンウンのアパート、夕方

(ベッドに座って本を読んでいるギョンミン。ヨンウン、風呂場から出る。)

ヨンウン : (ベッドに上がって) 私、今日どこに行ったと思う?

ギョンミン : (見る) どこに行ったんだ?仕事部屋にいたんじゃないのか?

ヨンウン : うん。大学路に散歩に行ったらユン作家と会ったの。

ギョンミン : へえ。偶然?

ヨンウン : うん。一緒に新村に行って祭りを見て、話もして...面白かったわ...

ギョンミン : (見て笑う) 何の話をしたんだ?

ヨンウン : (見る).....秘密。

ギョンミン : 秘密だと?(頭を上げる)

ヨンウン : ところで。

ギョンミン : ん?

ヨンウン : 感じがなかなかなのよ...

ギョンミン : 何の感じ?

ヨンウン : あなたはどう思う?

ギョンミン : (チラリと見る) 何を?

ヨンウン : チン・サンウとユン・セア。

ギョンミン : 何?(見る) チン・サンウと ...ユン・セア?

ヨンウン : (自分が情けない) ドラマを書き過ぎたせいでこうなるのかしら?...(苦笑)こんなつまらない事を考えるなんて...

ギョンミン : (眉間をしかめる) つまらない事って?

ヨンウン : つまらない事よ。後から話すわ。(横になる)

ギョングミン : つまらない事って...。電気を消そうか?

ヨンウン : うん...はー...疲れた...(目を閉じる)

ギョンミン : (電気を消して来る) 大丈夫か?どれだけ歩いたんだ?

ヨンウン : 一時間位...?

ギョンミン : さすってやろうか?

ヨンウン : いいえ...大丈夫...(声がだんだん無くなる)

ギョンミン : (手枕をしてやる。布団を掛けてやる。額にキス) おやすみ...可愛い人...






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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